ても折れることはない、結構なものを手に入れた。近いうちに甲府へ行って献上しようと思うていたところへ、貴殿がここへおいであったというは幸い、それでこの通りに押して参上」
抜身《ぬきみ》の槍を抱えて竜之助は程よいところへ坐り、穂先をズッと燈火《あかり》の方へ向けたから、擬いの勤番連は煙《けむ》に捲かれて、
「なるほど、うむ、その槍が……」
「こういう品は今時《いまどき》、この山国でもなければ滅多には出て来ないわい、いざ神尾殿、よく穂先から込《こみ》の具合まで、鑑定《めきき》して御覧あれ」
竜之助はその槍の穂先を、擬いの神尾主膳の方へ突きつける。
「なるほど、これは見事な槍、近頃の掘出し物、なるほど」
「御所望とあらば進上致す」
「いかにも珍らしい槍、頂戴して甲府へのみやげにしたい」
「それはお安いこと、進上致そう。その前に一応の鑑定《めきき》が所望」
「いや、我々には目が届かぬ、貴殿の御鑑定では?」
「目のあいた神尾殿に鑑定の届かぬものを、目のない拙者になんで鑑定ができよう」
「しからばこのまま頂戴致す、誰かこの槍を頂戴して床の間へ飾れ」
擬《まが》いの神尾主膳に附添いの者共はみな集
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