目柄でございます。幸いにお支配はおいでなさいませんし、お組頭《くみがしら》のあなた様の御威光で、あいつらも慄《ふる》え上ってしまうことでございましょう、よいところにお気がつかれまして結構で」
「こういうことの相談は貴様に限る」
 主従は、こんな秘々話《ひそひそばなし》をして酒を酌《く》み交わしました。

         八

 奈良田の望月家では、花婿が花嫁の里帰りから帰るのを待ち兼ねているところへ、花嫁は帰らないで、不意に甲府勤番の侍が二人、数人の従者を引連れてやって来ました。
 こは何事と驚く表から厳《いか》めしく踏み込んで、
「お調べの筋がある」
といって、隅から隅まで家の中を探し歩いたことで、家の者も近所の者もことごとく胆《きも》をつぶしてしまいました。
 そうしてめぼしい物にはことごとく封印をつけた上に、若主人を甲府まで同道するから、急いで仕度《したく》をしろということで一同が青くなりました。こうして、委細のことは役所へ罷《まか》り出でて申せとばかりで、遮二無二《しゃにむに》この新婿様《にいむこさま》を駕籠に乗せて引張って行ってしまいました。
 あとの連中はなすところを知ら
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