「御金蔵のほかにお金のありそうなところ、はてな、それは物持ちのところには、相当のお金があるでございましょうよ、それがあったにしてみたところで、やっぱり詰りませんな」
「権六、性根《しょうね》を据えて考えてみろ、公儀の金や町人の金銭に眼をつけたところで始まらないじゃないか、誰が取ってもさしさわりのない金がこの甲州にはウントあるのだ、言って聞かすまでもなく、その金は山の中にある、信玄公もそれを掘り出した、東照権現《とうしょうごんげん》もそれを掘り出した」
「なるほど」
「宝の山に入《い》りながら手を空《むな》しゅうしているというのはこのことではないか、甲州という金の出る国に来ていながら、おたがいにこうして面《かお》を見合って金が欲しい金が欲しいと溜息《ためいき》をついているのが愚の骨頂《こっちょう》だ」
「それは御意の通りでございますが、山ん中の金は見つけるのが事で、掘り出すのがまた事で、それを吹き分けるのがまた一仕事でございますからなあ」
「はははは、権六、貴様も根っから正直に物を考える男だ。まあ近く寄れ、もっと近く寄れ、手を濡らさずに、山の中から金を見つけて、掘り出して吹き分けて使い
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