の花と一緒にお月見をしよう」
「それがよい。そんならおじさんの傍へ行って、縁側へ腰をかけてお月見をしながら、また戦人《いくさにん》の話を教えておもらいなさい」
「そうしよう。おじさん」
子供は勇んで竜之助の傍へ来る、竜之助は黙ってその頭を撫《な》でる。
「おじさん、お前は眼が見えないのだろう?」
「ああ、眼が見えない」
「それでお月見をするのはおかしいね」
「それでもその月見草でさえも、眼がなくてお月見をしているではないか」
「そうだな、眼がなくても月が見えるだろうか知ら」
「それは見える」
「では、この月見草の花は、どんな色をしているか当ててごらん」
「黄色い色をしている」
「よくわかるね。それではおじさん、坊がここへ字を書くから、その字を読んでごらん」
子供は棒切れを取って竜之助の足許《あしもと》の地面へ大きく文字を書いて、
「さあ、何という字を書いた」
「それは読めない」
「それごらん」
「どうにも、おじさんにはそんなむずかしい字は読めぬ」
「教えて上げようか」
「教えてくれ」
「いや」
「教えてくれ」
「いや」
「その字が知りたい」
「教えればおじさん、戦人《いくさにん》の
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