からお座敷では武芸のお話で持ち切りのようでした、料理が運ばれたりお酒が運ばれたりして、大へん陽気になりましたが、それでもほかのお客の時よりは、静かな席でありました。それから、わたしが廊下を渡ってお池の傍を通りますと、お池の中の金魚が三つばかり死んでいて、緋鯉《ひごい》が一つ死にかけて腹を上にしておりました」
「…………」
「それも別に深く気にしたわけでもありませんが、あれ金魚が死んでいると、ちょうど通りかかりの女中に言いますと、女中たちは物見高《ものみだか》いから、忽《たちま》ち二三人集まって、金魚|評定《ひょうじょう》が始まりました、猫にひっかかれたんだろうというものや、いいえ烏が飛んで来ていたずらをしたのに違いないというもの、そうではない狆《ちん》がお池を掻《か》き廻したからだというもの、なかには、毒を飲まされたんだ、金魚が毒を飲まされたと言い出したものさえありましたが、それは笑い物にされてしまって、毒なんてそんなものがこのお邸のどこにあるの、お嗜《たしな》みなさいよと言われて、毒と言い出した女中は、面を真赤にして文句に詰ってしまいましたのを、後でわたしは思い出してゾッとしました」
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