し、支配し、併呑する。それであればこそ机に腰かけることは誤りであり、その日の新聞を以て物を包むことは間違いであると云うことが意味を有つことになるのである。処が他方に於て机は腰かけ得る性質を持つが故に、一般に腰かけ得るものの内に列することが出来るであろう。腰掛ばかりではなく火鉢、書架、棚、など凡そ腰かけ得るものは、机と同じ同属として並ぶことが出来る。新聞紙は包み得るものとして風呂敷ばかりでなく、毛布、羽織、などと同列することが出来る。そればかりではない、机は木として新聞は紙として夫々の entities にぞくする。人々は之を否定しようとは思わない、それにも拘らず、机の性格は机であり、新聞の性格は新聞である。凡そ総てのものはこのようにして適当なる任意のものに還元[#「還元」に傍点]され得る。それにも拘らず還元されても性格の優越は失われない。還元性[#「還元性」に傍点]と優越性[#「優越性」に傍点]とは別である。吾々は念のために社会的な一例を引こう。国民皆兵であるならば軍人でない国民はないであろう、国民は凡て軍人に還元される、けれども総ての国民が軍人という性格を有つのではない。軍人を以て任
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