と仮想されたものが真に単一者であるならば次元は成立しない、一次元ということも常に多次元を可能なものと予想し之に対して始めて成り立つことが出来るのであるから。次元は多様性を必要とするが、なお之は更に多様性の統一を必要とする。茲に於て多様性はこの統一の分となる。さてかかる分が夫々他の分と独立である時次元は始めて可能となるのである。各分が独立であるから他の分に還元されることが出来ない。重さは長さに還元出来ず、又長さは重さに還元出来ない、その意味に於て重さ・長さ其の他は独立の分である。それ故重さ・長さ其の他は計量の次元となるのである。以上は一般の次元である。処が延長の次元に於てはこの分それ自身が延長を有つのでなければならない。この時延長は三次元[#「三次元」に傍点]の統一となって事態の事実上表われて来る特徴を有っている。人々はこの三次元性を合理的に説明しようと試みる、或る人は延長を非感性化することによって延長そのものをこの感性的なる三次元性から救おうとし、又或る人は之を他のものから演繹しようと企てる*。けれどもこのような説明[#「説明」に傍点]が一般に如何に吾々にとって無意味であるかは繰り返し
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