多くは[#「多くは」に傍点]この延長を有つもののことであるのを発見することが出来る(意識の内に継起すると云うことの出来るようなものは、たといそれが経験的であるにしても――例えば内部知覚の如く――、之を必然的に感性的と呼ぶことを人々は何かしら躊躇しないでもないであろう。それが断然感性的と考えられる場合は、恐らく延長せるものとの交渉をそれが本来もたねばならぬ運命が発見された時である)。少くとも眼で見手で触れることの出来るもの――それが感性的なるものの第一義的特徴であると考えられる――は常に延長を有つ。延長によって或る人々は確実堅固なるものの保証を発見し、又或る人々は不安薄弱なるものの適例を見出す。このようにして善い意味に於ける又は悪い意味に於ける感性を、最も端的に与える事態が恰も延長である。延長は空間の基礎的概念である。
 延長の事態に第一に含まれているものは次元[#「次元」に傍点]の概念である。但し茲に云うのは延長の[#「延長の」に傍点]次元であることを忘れてはならない。というのは次元は様々の概念を持つことが出来るからである。一般に次元の概念は多様性の概念を要求する。何となればもし次元者
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