ある。机と描かれた机との関係は今の区別に関わる処はない)。かかる空間概念は日常生活に於て常に要求[#「要求」に傍点]されている処のものであり、又日常生活を常に指導して行く任務[#「任務」に傍点]を有っている。研究故の概念――専門的概念――ではなくして活動故の概念――常識的概念――で吾々の空間はなければならない。人々は表象に頼らずして常に実在――存在――に頼って生活している、かかる信頼を裏書きするものが夫でなければならない。このような意味に於て空間は一つの存在[#「存在」に傍点]の概念であることが明らかとなった。
存在を向の約束に従って空間的存在に限定しても、存在の意味はまだ決して一様ではない。第一は机という存在者[#「存在者」に傍点]を、第二は机の持つ存在性[#「存在性」に傍点]を、存在は云い表わすことが出来る。人々は普通、空間をこの二つの規定の何れともして説明[#「説明」に傍点]する。吾々は――性格に従って(動機に従って)空間概念を理解[#「理解」に傍点]すべき吾々は――、之に反してただ後者のみを採る。何となれば存在者(物)と存在者との間[#「間」に傍点]が空間的存在にとって是非と
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