行なわれた処で、それであるからと云って常識的概念になるのではない。又たとい普通一般に行なわれなくても、或る普通一般に行なわれているものがそうある筈である処の概念はなお常識的概念である。あまり行なわれないということが専門的概念の資格とならないと同じに、普通行なわれるということが常識的概念の資格とはならない。元来或る一定の概念が常識的であり他の一定の概念が専門的であるとは限らない。同一の概念も常識的概念として又専門的概念として理解される筈であった。尤も或る概念はより普通に[#「普通に」に傍点]専門的概念として通用し、他の或る概念はより普通に[#「普通に」に傍点]常識的概念として通用する(普通性と日常性との無関係を注意せよ)。それ故現に吾々は「概念」に於ては術語(専門語)としての「概念」から、「理解」に於ては日常語としての「理解」から出発した。併し両者は何れも日常語(常識的概念)であると同時に専門語(専門的概念)であり得た。かくて吾々の常識的概念は普通性[#「普通性」に傍点]を持つのではなくして日常性[#「日常性」に傍点]を有つのである、――概念は一般に与えられてあるものではなくして求められ
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