sense.
[#ここで字下げ終わり]

 常識的概念と専門的概念、従って日常語と専門語、との区別とその対等とを吾々は今見た。恐らくあり得べき一つの重大な誤解を警戒しておく必要があると思う。専門的概念は学識に於て知識としての価値を有ち、之に対して常識的概念は日常性[#「日常性」に傍点]に於て独立の知識としての価値を持つ。人々はこう思い做すかも知れない、日常性[#「日常性」に傍点]とは世間的により普通[#「普通」に傍点]に行なわれること――普通性[#「普通性」に傍点]――を指すのである、と。もしそうすれば専門的概念もそれが普通一般に行なわれる時には常識的概念となり、そしてあまり普通一般に行なわれない概念は常に常識的概念ではあり得ないということにならなければならぬ。併し吾々にとっては普通性[#「普通性」に傍点]と日常性[#「日常性」に傍点]とは異る。前者は一般に行なわれているという単なる与えられたる事実であり、之に反して後者は、一般に事実として行なわれている処のものが実は[#「実は」に傍点]何でなければならない筈であるかという課せられた課題なのである。であるから専門的概念が如何に普通一般に
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