々に求めるのである。吾々は寧ろこの要請[#「要請」に傍点]に基いて概念を定義[#「定義」に傍点]してよいであろう。さてそうとすれば吾々の目的――概念を理解によって説明するという目的――にとって有利な一つの法則[#「法則」に傍点]を得る、概念は理解の対自であるという条件の下に、吾々は常に理解と概念とを統一的に取り扱うことが出来る、という法則。理解と概念との統一、之が吾々が或いは理解、或いは概念、と呼ぶ処のものの真理である。故に理解に就いて云うことの出来たことは、その儘、但し今の条件の下に、概念に当て嵌まらなければならない。
 概念が理解の対自であるという今の条件を理由として恐らく人々は云うであろう、であるからたとい理解がどうあるにせよ少くとも概念は論理的[#「論理的」に傍点]でなければならない、と。理解することが論理的ではないにしてもその理解の固定した断面とも云うべき概念は論理的存在ではないか、と。処で吾々はそのような主張又は杞憂を防ぐために、特に把握的概念が論理的ではない[#「ない」に傍点]ことを指摘しておいたのである。対自性によって論理的となるもの、それは恐らく構成的概念――それは論
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