成的概念と把握的概念を得た。処で前者はより専門的であり後者はより日常的である(日常的と専門的の区別は後を見よ)。吾々は日常語として[#「日常語として」に傍点]より根柢的な把握的概念を、概念として採用する。従って向に示した通り、構成的概念はさし当り概念ではない。蓋し構成的概念は把握的概念から派生し、従って吾々は之をただ派生的な意味に於てのみ概念と呼ぶことが出来るであろう――但し日常語としての概念として。術語としての概念としては構成的概念がより根本的であるかも知れないが。
併し概念(把握的概念)は理解(把握)によって説明される約束であった。
理解(把握 Greifen)と概念(Begriff)とは勿論一つではない。けれども仮に把握を時間的に起こる一つの働きに譬えて見よう。その時概念は第一にこの把握という働きの結果[#「結果」に傍点]に譬えられることが出来るであろう。把握されて得た処のもの、それが概念――把握的概念――と考えられる。白い物が、白い物の概念として、即ち白い物として、把握された[#「された」に傍点]場合が之である。第二に概念はこの働きの出発点[#「出発点」に傍点]に譬えられ
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