を――概念ならぬ何物かを――意味し、理解せしめ、把握せしめる処の概念である。例えば自然という概念[#「概念」に傍点]ではなくして云わば自然[#「自然」に傍点]に関する概念のように、この概念に於ける存在は概念ではなくして――向の構成的概念ではそれが概念であった――正に自然そのものでなければならないのである。それ故この概念によって最も広い意味に於ける実在――論理の世界から区別された実在――に関する概念が初めて成り立つことが出来る。把握的概念は実在を徴候づけることが出来る―― semantischer Begriff。この概念は、例えば自然概念として、無論自然それ自身ではなくして自然概念[#「概念」に傍点]であるのであるから、その限り論理的[#「論理的」に傍点]と呼ばれる理由はなくはないであろう。けれどももし之と構成的概念の有つ論理的とを同一視し、それによって何かの結果を惹き出そうとするのであったならば、吾々は云わねばならぬ、把握的概念は論理的ではない、と。何となればそれは構成的ではないから、そして論理が構成的である時にのみ論理的という形容詞は使われ得るのであったから。
 さて二つの概念、構
前へ 次へ
全124ページ中13ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング