覚乃至表象から、区別された「概念」という独特の存在(無論特殊の意味に於ける)を有つ処のものである。例えば自然ではなくして自然という概念[#「概念」に傍点]――その基体は言葉でしかない――とか、直観ではなくして直観という概念とかのように、それは外見上自己以外の何物かを意味し云い表わすかのように見えながら、実は却ってそれ自身をしか云い表わさないような、もはや概念以外の何物でもない処の、概念[#「概念」に傍点]という独立の存在を有つ(数学乃至数学的論理学に於ける文字(Charakteristik)はかかる存在の記号に外ならない)。それであるから構成的概念は、それが論理的なる領域に於て構成され、又それが論理的なる領域を構成する点を捉えて、正当に論理的[#「論理的」に傍点]として性格づけられることが出来る。さてこの論理的概念=構成的概念をば、やがて説明される理由によって、概念と呼ぶことをさし当り控えるであろう。
 第二の種類の概念は把握的概念[#「把握的概念」に傍点]と呼ばれることが出来る。把握的概念は構成的概念のように、概念という特殊の存在を云い表わすのではない。そうではなくして常に他の何物か
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