。……霊界の場処の変化は状態の変化に外ならぬ。何となれば茲では場処の変化は凡ての心の状態の変化によって作用されるのであるから。……かくして接近は心の状態の類似に、遠隔はその相異に外ならないことは明らかである」云々(Swedenborg, Heaven and Hell, §191−3.)。
*** 吾々の概念がそうあったように、もし意識が又は現象が無性格[#「無性格」に傍点]であるならば、問題は全く別になるであろう。
[#ここで字下げ終わり]
空間の性格は意識ではないから、意識の性格に於て現象を理解する現象学的還元によって、空間は本来[#「本来」に傍点]の問題として提出される機会を失って了う外はない。無論この場合、空間が全く問題になることが出来ないなどと云うのではない。却って空間はすでに吾々が見たように、殆んどどのような立場・方法に立っても常に何かの形態に於て問題となり得る性質を持っていた。ただ空間概念がその本来の問い方に於て、空間自身の要求する問題提出の仕方に於て、更に云い換えるならば、空間概念の性格に従って、問われる動機を、現象学的方法は不可能ならしめる理由があるのであった。そ
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