推理によっては体系を構成することは出来ない。幾何学は公理体系に基く。それ故求められた標準は公理体系、云い換えれば公理と公理との関係に於て見出されるであろう。然るに公理と公理とは互に矛盾しないという条件の下で互に独立であるから、どの公理とどの公理とを選ぶかは又一つの任意とも考えられる。併しもし之が任意ではないということが証明されたとすれば、如何なる[#「如何なる」に傍点]公理を如何に[#「如何に」に傍点]選ぶかの標準が一遍に発見されるわけである。私はこの証明を試みよう。まず形式的に三つの異った要素をA、B、Cとして適当な条件の下に、
   ┌(一)[#「(一)」は縦中横]二つのAが一つのBを、
(1)[#「(1)」は縦中横]│(二)[#「(二)」は縦中横]三つのAが一つのCを、
   │(三)[#「(三)」は縦中横]二つのCが一つのBを、
   └(四)[#「(四)」は縦中横]三つのCが一つのAを、決定するものとする。今AをCによって、CをAによって置き代える時には(1)[#「(1)」は縦中横]は(三)[#「(三)」は縦中横](四)[#「(四)」は縦中横](一)[#「(一)」は縦中横](二)[#「(二)」は縦中横]の順序となるだけであるから(1)[#「(1)」は縦中横]そのものは不変である。処が(四)[#「(四)」は縦中横]の代りに
    (四′)[#「(四′)」は縦中横]二つ[#「二つ」に傍点]のCが一つのAを決定する、を置き代え、(1′)[#「(1′)」は縦中横]即ち(一)[#「(一)」は縦中横](二)[#「(二)」は縦中横](三)[#「(三)」は縦中横](四′)[#「(四′)」は縦中横]に前の変換を行うと(1′)[#「(1′)」は縦中横]は
    ┌(三)[#「(三)」は縦中横]二つのCが一つのBを、
(1″)[#「(1″)」は縦中横]│(二′)[#「(二′)」は縦中横]三つのCが一つのAを、
    │(一)[#「(一)」は縦中横]二つのAが一つのBを、
    └(四″)[#「(四″)」は縦中横]二つのAが一つのCを、決定することとなり、(1″)[#「(1″)」は縦中横]の(二′)[#「(二′)」は縦中横]と(四″)[#「(四″)」は縦中横]は夫々(1′)[#「(1′)」は縦中横]の(四′)[#「(四′)」は縦中横]と(二)[#「(二)」は縦中横]とに矛
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