ゥ E. Untermann, Science and Revolution とか A. Bogdanow, Die Entwicklungsformen der Gesellschaft und die Wissenschaft とかを挙げることが出来る。
[#ここで字下げ終わり]
[#改段]


[#1字下げ]第六章 社会心理学の批判[#「第六章 社会心理学の批判」は中見出し]



[#3字下げ]一[#「一」は小見出し]

 イデオロギーは文化であると共に又心理[#「心理」に傍点]でもあった。而もそれは社会心理[#「社会心理」に傍点]と名づけられても好いものであるように見える。恰も「社会心理学」はそうしたものを取り扱おうとする。そこで社会心理学とイデオロギー論との関係を検べて見ることが必要となるのである。――今や問題は社会[#「社会」に傍点]と意識[#「意識」に傍点]との、吾々が最初に触れたかの関係の内に横たわる。
 社会という言葉も意識という言葉も、人々が日常之を使い慣らしているだけに、それだけ却って殆んど無限に異ったニュアンスを有った概念を云い表わす。例えば社会学者や民主主義者、又資本家や当局、が大体同じ「社会」概念を持っているとしても、それは社会科学者のもつ社会の概念とは根本的に異った点を含んでいる。心理学者や哲学者が「意識」という言葉で理解するものは、一般世人や労働運動者の理解している「意識」ではない。専門的な術語としてさえ、この言葉は決して判明なものではない。――だがこのようなニュアンスが吾々の前に無秩序に並存してあると考えてはならない。実を云えば、夫々の概念が歴史的発展の過程を経ることによって、今日にまで止揚されて来たモメントが、今日の様々なニュアンスとなって現われて来ているのである。そこで、社会と意識という二つの概念が、どういう歴史上の負担を有って今日吾々に現われているかを見よう――第一章参照。
 人間の社会は有史以前からあっただろうし、又は人間がまだ動物的な諸条件を脱しない時にすらあったと想像して好い。元来動物それ自身が或る意味では社会的であるかも知れない(エスピナの 〔Les Socie'te's Animales〕 によってのように)。併し社会という概念[#「概念」に傍点]が、他の概念から特に区別されて、自覚[#「自覚」に傍点]にまで齎されたのは、可なり新しいことと考えられる。ギリシアの都市国家やローマ帝国はまだ自分に対する恰好な対立物を有たなかったが――、カエサルの国家の対立物はイエスの神の国[#「神の国」に傍点]にまで昇華して了った――、すでに中世末期のイタリヤ都市国家になれば、それは地上の神の国としての法王権に、意識的に対立しなければならなかった(ギベリニ党員ダンテの時代)。そしてやがて之等及びその他の新興封建諸国――諸王国[#「諸王国」に傍点]――は、最後に、それ自身の内からその対立物として、ブルジョア社会[#「ブルジョア社会」に傍点]を生み出すことによって、王国から資本主義的国家[#「国家」に傍点]にまで変質した(この変質が今日に至って完了したものが現在に於ける帝国主義の形態である)。だから国家から区別された社会[#「社会」に傍点]の概念は、フランス革命を契機として人々の意識に上ったと云わねばならぬ。そして今何より大事なことは、この社会の概念が、国家[#「国家」に傍点]と対立するところの社会一般[#「社会一般」に傍点]の名の下に、実は、ブルジョア社会[#「ブルジョア社会」に傍点]の概念を潜在意識していたということである。この潜在意識を暴露したものがヘーゲルの利益社会(〔bu:rgerliche Gesellschaft〕)の概念であったのである。さてこのブルジョア社会の概念――決してそれは社会一般[#「一般」に傍点]の概念ではない――こそが今日、社会概念一般の標準をなしその代表者[#「代表者」に傍点]となっている。今日、普通行なわれている諸々の社会概念は大抵、ブルジョア社会の外へ出でずにその埒内で理解された処の、即ちブルジョア的に理解された、社会概念なのである。それはブルジョア社会を直ぐ様社会一般にまで永遠化すか、そうでなければ、ブルジョア社会以外の社会をブルジョア社会のモデルに従って把握しようとする。社会一般は今日、多く、ブルジョア社会になぞらえられてのみ考えられる。
 意識の方はどうか。意識自身の歴史的発生は今は問題になるまいが、意識の概念の発生は前にも云った通り、アウグスティヌスに置かれている。併しここで意識と考えられるものは神にまでつながる人間の内面性[#「内面性」に傍点]に他ならない。処が今日の諸意識概念の一般的な特色は、この人間の内面性を更に自我[#「自我」に傍点]にまで結び付ける
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