上に置く。
 「おう、こら立派にでけたぞ」
 「それからね、習字に読書が乙で、あとはみんな丙なの、とうと水上《みなかみ》に負けちゃッた。僕アくやしくッて仕方がないの」
 「勉強するさ――今日は修身の話は何じゃッたか?」
 水兵は快然と笑《え》みつつ、「今日はね、おとうさま、楠正行《くすのきまさつら》の話よ。僕正行ア大好き。正行とナポレオンはどっちがエライの?」
 「どっちもエライさ」
 「僕アね、おとうさま、正行ア大好きだけど、海軍がなお好きよ。おとうさまが陸軍だから、僕ア海軍になるンだ」
 「はははは。川島の兄君《にいさん》の弟子《でし》になるのか?」
 「だッて、川島の兄君《にいさん》なんか少尉だもの。僕ア中将になるンだ」
 「なぜ大将にやならンか?」
 「だッて、おとうさまも中将だからさ。中将は少尉よかエライんだね、おとうさま」
 「少尉でも、中将でも、勉強する者がエライじゃ」
 「あたしね、おとうさま、おとうさまてばヨウおとうさま」と振り分け髪はつかまりたる中将の膝を頡頏台《はねだい》にしてからだを上下《うえした》に揺すりながら、「今日はね、おもしろいお話を聞いてよ、あの兎《う
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