?」
「武男さんはもう台湾《あちら》に着いて、きっといろいろこっちを思いやっていなさるでしょう。近くにさえいなされば、どうともして、ね、――そうおとうさまもおっしゃっておいでだけれども――浪さん、あんたの心尽くしはきっとわたしが――手紙も確かに届けるから」
ほのかなる笑《えみ》は浪子の唇《くちびる》に上りしが、たちまち色なき頬のあたり紅《くれない》をさし来たり、胸は波うち、燃ゆばかり熱き涙はらはらと苦しき息をつき、
「ああつらい! つらい! もう――もう婦人《おんな》なんぞに――生まれはしませんよ。――あああ!」
眉《まゆ》をあつめ胸をおさえて、浪子は身をもだえつ。急に医を呼びつつ赤酒を含ませんとする加藤夫人の手にすがりて半ば起き上がり、生命《いのち》を縮むるせきとともに、肺を絞って一|盞《さん》の紅血を吐きつ。※[#「※」は「りっしんべん+昏」、第4水準2−12−54、216−7]々《こんこん》として臥床《とこ》の上に倒れぬ。
医とともに、皆入りぬ。
九の三
医師は騒がず看護婦を呼びて、応急の手段《てだて》を施しつ。さしずして寝床に近き玻璃窓《はりそう》を開か
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