周囲を駛《は》せつつ、幾回かめぐりては乱射し、めぐりては乱射す。砲弾は雨のごとく二艦に注ぎぬ。しかも軽装快馬のサラセン武士が馬をめぐらして重鎧《じゅうがい》の十字軍士を射るがごとく、命中する弾丸多くは二艦の重鎧にはねかえされて、艦外に破裂し終わりつ。午後三時二十五分わが旗艦松島はあたかも敵の旗艦と相並びぬ。わがうち出す速射砲弾のまさしく彼が艦腹に中《あた》りて、はねかえりて花火のごとくむなしく艦外に破裂するを望みたる武男は、憤りに堪《た》え得ず、歯をくいしばりて、右の手もて剣の柄《つか》を破《わ》れよと打ちたたき、
「分隊長、無念です。あ……あれをごらんなさい。畜生《ちくしょう》ッ!」
分隊長は血眼《ちまなこ》になりて甲板を踏み鳴らし
「うてッ! 甲板をうて、甲板を! なあに! うてッ!」
「うてッ!」武男も声ふり絞りぬ。
歯をくいしばりたる砲員は憤然として勢い猛《たけ》く連《つる》べ放《う》ちに打ち出《いだ》しぬ。
「も一つ!」
武男が叫びし声と同時に、霹靂《へきれき》満艦を震動して、砲台内に噴火山の破裂するよと思うその時おそく、雨のごとく飛び散る物にうたれて、武男はど
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