いにみんなそろって今日《きょう》の夕飯を食うや否やは疑問だ。諸君、別れに握手でもしようじゃないか」
いうより早く隣席にありし武男が手をば無手《むず》と握りて二三度打ちふりぬ。同時に一座は総立ちになりて手を握りつ、握られつ、皿は二個三個からからとテーブルの下に転《まろ》び落ちたり。左頬《さきょう》にあざある一少尉は少軍医の手をとり、
「わが輩が負傷したら、どうかお手柔らかにやってくれたまえ。その賄賂《わいろ》だよ、これは」
と四五度も打ちふりぬ。からからと笑える一座は、またたちまちまじめになりつ。一人去り、二人去りて、果てはむなしき器皿《きべい》の狼藉《ろうぜき》たるを留《とど》むるのみ。
零時二十分、武男は、分隊長の命を帯び、副艦長に打ち合わすべき事ありて、前艦橋に上れば、わが艦隊はすでに単縦陣を形づくり、約四千メートルを隔てて第一遊撃隊の四艦はまっ先に進み、本隊の六艦はわが松島を先登としてこれにつづき、赤城西京丸は本隊の左舷に沿うてしたがう。
仰ぎ見る大檣《たいしょう》の上高く戦闘旗は碧空《へきくう》に羽《は》たたき、煙突の煙《けぶり》まっ黒にまき上り、舳《へさき》は海を劈
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