。
やがて戦闘旗ゆらゆらと大檣《たいしょう》の頂《いただき》高く引き揚げられ、数声のラッパは、艦橋より艦内くまなく鳴り渡りぬ。配置につかんと、艦内に行きかう人の影織るがごとく、檣楼に上る者、機関室に下る者、水雷室に行く者、治療室に入る者、右舷《うげん》に行き、左舷に行き、艦尾に行き、艦橋に上り、縦横に動ける局部の作用たちまち成るを告げて、戦闘の準備は時を移さず整いぬ。あたかも午時《ごじ》に近くして、戦わんとしてまず午餐《ごさん》の令は出《い》でたり。
分隊長を助け、部下の砲員を指揮して手早く右舷速射砲の装填《そうてん》を終わりたる武男は、ややおくれて、士官次室《ガンルーム》に入れば、同僚皆すでに集まりて、箸《はし》下り皿《さら》鳴りぬ。短小少尉はまじめになり、甲板士官《メート》はしきりに額の汗をぬぐいつつうつむきて食らい、年少《としした》の候補生はおりおり他の顔をのぞきつつ、劣らじと皿をかえぬ。たちまち箸をからりと投げて立ちたるは赤シャツ少尉なり。
「諸君、敵を前に控えて悠々《ゆうゆう》と午餐《ひるめし》をくう諸君の勇気は――立花宗茂《たちばなむねしげ》に劣らずというべしだ。お互
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