て出《い》で来たりぬ。
「おお道《みい》ちゃん、毅一《きい》さん。どうだえ? ――ああ駒ちゃん」
道子はすがれる姉《あね》の袂《たもと》を引き動かしつつ「あたしうれしいわ、姉さまはもうこれからいつまでも此家《うち》にいるのね。お道具もすっかり来てよ」
はッと声もなし得ず、子爵夫人も、伯母も、婢《おんな》も、駒子も一斉に浪子の面《おもて》をうちまもりつ。
「エ?」
おどろきし浪子の目は継母の顔より伯母の顔をかすめて、たちまち玄関わきの室も狭しと積まれたるさまざまの道具に注ぎぬ。まさしく良人宅《うち》に置きたるわが箪笥《たんす》! 長持ち! 鏡台!
浪子はわなわなと震いつ。倒れんとして伯母の手をひしととらえぬ。
皆泣きつ。
重やかなる足音して、父中将の姿見え来たりぬ。
「お、おとうさま!![#「!!」は一文字、第3水準1−8−75、137−15]」
「おお、浪か。待って――いた。よく、帰ってくれた」
中将はその大いなる胸に、わなわなと震う浪子をばかき抱《いだ》きつ。
半時の後、家の内《うち》しんとなりぬ。中将の書斎には、父子《おやこ》ただ二人、再び帰らじと此家《ここ
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