、「実家《さと》によ」
 「実家《さと》に? 実家《さと》で養生さすのですか」
 「養生もしようがの、とにかく引き取って――」
 「養生には逗子《ずし》がいいですよ。実家《さと》では子供もいますし、実家《さと》で養生さすくらいなら此家《うち》の方がよっぽどましですからね」
 冷たくなりし茶をすすりつつ、母は少し震い声に「武どん、卿《おまえ》酔っちゃいまいの、わかんふりするのかい?」じっとわが子の顔みつめ「わたしがいうのはな、浪を――実家《さと》に戻すのじゃ」
 「戻す? ……戻す? ――離縁ですな!![#「!!」は一文字、第3水準1−8−75、111−11]」
 「こーれ、声が高かじゃなッか、武どん」うちふるう武男をじっと見て
 「離縁《じえん》、そうじゃ、まあ離縁《じえん》よ」
 「離縁《りえん》! 離縁!![#「!!」は一文字、第3水準1−8−75、111−14] ――なぜですか」
 「なぜ? さっきからいう通り、病気が病気じゃからの」
 「肺病だから……離縁するとおっしゃるのですな? 浪を離縁すると?」
 「そうよ、かあいそうじゃがの――」
 「離縁!!![#「!!!」は一文字、
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