浪でも達者ですといいですが。あれも早くよくなって母《おっか》さんのお肩を休めたいッてそういつも言ってます」
 「さあ、そう思っとるじゃろうが、病気が病気でな」
 「でも、大分|快方《いいほう》になりましたよ。だんだん暖かくはなるし、とにかく若い者ですからな」
 「さあ、病気が病気じゃから、よく行けばええがの、武どん――医師《おいしゃ》の話じゃったが、浪どんの母御《かさま》も、やっぱい肺病で亡《な》くなッてじゃないかの?」
 「はあ、そんなことをいッてましたがね、しかし――」
 「この病気は親から子に伝わッてじゃないかい?」
 「はあ、そんな事を言いますが、しかし浪のは全く感冒《かぜ》から引き起こしたンですからね。なあに、母《おっか》さん用心次第です、伝染の、遺伝のいうですが、実際そういうほどでもないですよ。現に浪のおとっさんもあんな健康《じょうぶ》な方《かた》ですし、浪の妹――はああのお駒《こま》さんです――あれも肺のはの字もないくらいです。人間は医師《いしゃ》のいうほど弱いものじゃありません、ははははは」
 「いいえ、笑い事じゃあいません」と母はほとほと煙管《きせる》をはたきながら

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