って出る。
雲上《うんじょう》から下界に降る心地して、惜しい嶝道《とうどう》を到頭下り尽した。石門を出ると、川辺に幾艘の小舟が繋《つな》いである。小旗など立てた舟もある。船頭が上って来て乗れとすゝめる。
「如何《どう》だ、舟で渡って見ようか」
「えゝ、渡りましょう」
一同舟に乗った。
川上を見ると、獅子飛《ししと》び、米漉《こめかし》など云う難所に窘《いじ》められて来た宇治川は、今山開け障《さわ》るものなき所に流れ出て、弩《いしゆみ》をはなれた箭《や》の勢を以て、川幅一ぱいの勾配《こうばい》ある水を傾けて流して来る。紅に黄に染めた上流両岸の山は、碧《あお》い朝靄《あさもや》を被《き》て、山蔭の水も千反《せんたん》の花色綸子《はないろりんず》をはえたらん様に、一たび山蔭を出て朝日が射《さ》すあたりに来ると、水も目がさめた様に麗々《れいれい》と光り渡って、滔々《とうとう》と推し流して来る。瀬の音がごう/\/\、ざあ/\ざあと川面《かわつら》一面に響く。
「好いなァ」思わず声をあげる。
船頭は軋々《ぎいぎい》と櫓の響《おと》をさせて、ほゞ山形《やまなり》に宇治川を渡す。
「何て奇麗な
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