も落すと一月も二月もぷす/\燻《くすぶ》って居ます、と案内者が云う。路の一方にはトロッコのレールが敷かれてある。其処《そこ》此処《ここ》で人夫がレールや枕木《まくらぎ》を取りはずして居る。
「如何《どう》するのかね」
「何、安田《やすだ》の炭鉱《たんこう》へかゝってたんですがね。エ、二里ばかり、あ、あの山の陰《かげ》になってます。エ、最早|廃《よ》しちゃったんです」
 案内者は斯《こう》云って、仲に立った者が此レールを請負《うけお》って、一間ばかりの橋一つにも五十円の、枕木一本が幾円のと、不当な儲《もうけ》をした事を話す。枕木は重にドス楢《なら》で、北海道に栗は少なく、釧路などには栗が三本と無いが、ドス楢《なら》は堅硬《けんこう》にして容易に朽《く》ちず栗にも劣らぬそうである。
 案内者は水戸《みと》の者であった。五十そこらの気軽《きがる》そうな男。早くから北海道に渡って、近年白糠に来て、小料理屋をやって居る。
「随分《ずいぶん》色々な者が入り込んで居るだろうね」
「エ、其《そ》りゃ色々な手合《てあい》が来てまさァ」
「随分|破落戸《ならずもの》も居るだろうね」
「エ、何、其様《そう》
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