れ》が出て、調布在の実家で死にました。死ぬまで大きな声で話したりして、見舞に往った天理教信者のおかず媼《ばあ》さんを驚かしたものです。離縁になってなかったので、お広さんの体《からだ》は矢張石山さんが引取って、こっそり隣の墓地に葬りました。葬式の翌日往って見ると、新しい土饅頭《どまんじゅう》の前に剥《は》げ膳が据《す》えられ、茶碗の水には落葉が二枚浮いて居ました。白木の位配に「新円寂慈眼院恵光大姉《しんえんじゃくじげんいんえこうだいし》」と書いてあります。慈眼院恵光大姉――其処に現われた有無の皮肉に、私は微笑を禁じ得ませんでした。而して寂《さび》しい初冬の日ざしの中に立って、莫連お広の生涯を思い、もっと良い婦人《おんな》になるべき素質をもちながら、と私は残念に思うのでありました。お広さんが死んで、法律上にもいよいよ※[#「環」の「王」に変えて「魚」、下巻−152−1]《やもお》になった厚い唇の久《ひさ》さんは真白い頭をして、本家で働いて居ます。唖の巳代吉は貧しい牧師の金を盗んだり、五宿の女郎を買ったりして居ましたが、今は村に居ません。盲の亥之吉も、季《すえ》の弟も居ません。一人女《ひとり
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