も、草木もそだてます。畑の真中にだって、坊主にされながら赤松が立って居たり、碌に実が生《な》らぬ柿の木さえ秋は美しく紅葉し、裸になっては平気に烏《からす》をとまらして居るではありませんか。私共は九州の土に生れて、彼方此方と移植され、到頭此粕谷へ来た雌雄相生の樹です。随分長い間ぐらついて居ましたが、到頭根づきました。もうちっとやそっとの風雨が来ても、びくともする事ではありません。あたりの邪魔にならぬ限り伐《き》って薪《まき》にもされず成長をつづける事が出来ようと思います。

       (四)

 村の寄合などに稀《たま》に出て、私は諸君の頭の白くなったに毎々《まいまい》驚かされます。驚く私自身が諸君に驚かるゝ程|齢《とし》をとりました。全く十七年は短い月日でありません。私共が引越当年生れた赤ン坊が、もう十七になるのです。赤ン坊が青春男女になり、青年が一人前になり、男女ざかりが初老になり、老人が順繰《じゅんぐ》り土の中に入るも自然の推移《うつり》です。「みみずのたはこと」が出てから十年間に、あの書に顔を出して居る人人も、大分《だいぶ》故人になりました。
 今年の六月には、村の牧師|下曾
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