しく迎える。畑には最早大麦小麦が寸余に生えて居る。大根漬菜が青々とまだ盛んな生気《せいき》を見せて居る。籬《かき》の外の畑では、まだ晩蒔《おそまき》の麦を蒔いて居る。向うの田圃では、ザクリ/\鎌の音をさして晩稲《おくて》を苅《か》って居る。
 今は午後の四時である。先程からぱっと射《さ》して色と云う色を栄《は》えさして居た日は、雲の瞼《まぶた》の下に隠れて、眼に見る限りの物は沈欝《ちんうつ》な相《そう》をとった。松の下の大分黄ばんだ芝生に立って、墓地の銀杏《いちょう》を見る。さまで大きくもあらぬ径《けい》六寸程の比較的|若木《わかぎ》であるが、魚の背骨《せぼね》の一方を削った様に枝は皆北方へ出て、南へは唯一本しか出て居ない。南の枝にも梢にも、残る葉はなくて、黄葉《こうよう》は唯北方に密集して居る。其裸になった梢に、嘴《はし》の大きな痩鴉《やせがらす》が一羽とまって居る。永く永くとまって居たが、尾羽で一つ梢をうって唖々《ああ》と鳴きさまに飛び立った。黄いろい蝶の舞う様に銀杏の葉がはら/\と飄《ひるが》える。
 廻沢の杉森《すぎもり》のあなたを、葬式が通ると見えて、「南無阿弥陀ァ仏、南無阿
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