身の滅亡《めつぼう》である。
彼旗を撤《てっ》し、此望台を毀《こぼ》ち、今自然も愁《うれ》うる秋暮の物悲しきが上に憂愁不安の気雲の如く覆《おお》うて居る斯千歳村に、雲霽れてうら/\と日の光《ひかり》射《さ》す復活の春を齎《もた》らすを得ば、其時こそ京王の電鉄も都と田舎を繋《つな》ぐ愛の連鎖、温《あたた》かい血の通《かよ》う脈管《みゃくかん》となるを得るであろう。
[#地から3字上げ](大正元年 十一月八日)
[#改ページ]
暮秋の日
竜田姫《たつたひめ》のうっとりと眼を細《ほそ》くし、またぱっと目を※[#「目+登」、第3水準1−88−91]《みひ》らく様な、曇りつ照りつ寂しい暮秋の日。
暦《こよみ》の冬は五六日前に立った。霜はまだ二朝《ふたあさ》三朝《みあさ》、しかも軽いのしか降《ふ》らない。但先月の嵐が累《るい》をなしたのか、庭園の百日紅、桜、梅、沙羅双樹《さらそうじゅ》、桃、李、白樺、欅、厚朴《ほう》、木蓮の類の落葉樹は、大抵葉を振うて裸になり、柿やトキワカエデの木の下には、美しい濶《ひろ》い落葉《おちば》が落葉の上に重《かさ》なって厚い茵《しとね》を敷いて居る
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