ゝ日は早や暮《くる》るに間《ま》もなくなった。何処《どこ》かに鴉《からす》が鳴く。余はさながら不測の運命に魘《おそ》われて悄然《しょうぜん》として農夫の顔其まゝに言《ものい》わぬ哀愁に満ちた自然の面影にやるせなき哀感《あいかん》を誘《さそ》われて、独|望台《ぼうだい》にさま/″\の事を想うた。都会と田舎の此争は、如何に解決せらるゝであろう乎。京王は終に勝つであろうか。村は負けるであろうか。資本の吾儘《わがまま》が通るであろう乎。労力の嘆《なげ》きが聴かるゝであろう乎。一年両度|緑《みどり》になり黄《き》になり命《いのち》を与うる斯二十万坪の活《い》きた土は、終古《しゅうこ》死の国とならねばならぬのであろうか。今|憂《うれい》の重荷《おもに》を負《お》うて直下《すぐした》に働いて居る彼爺さん達、彼処《あち》此処《こち》に鳶色に焦《こが》れた欅《けやき》の下|樫《かし》の木蔭に平和を夢みて居る幾個《いくつ》の茅舎《ぼうしゃ》、其等《それら》は所謂文明の手に蠅《はえ》の如く簑虫《みのむし》の宿《やど》の如く払いのけられねばならぬのであろうか。数で云うたら唯《たった》二十万坪の土地、喜憂《きゆ
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