云うものを久しく見ず、評判の帝国座もまだ覗《のぞ》いたことが無いので、見物に出かける。
劇場の外観は白っぽく冷《つめ》たく、あまり好い感じがせぬ。内は流石に綺羅《きら》びやかなものであった。二階の正面に陣取《じんど》って、舞台や天井《てんじょう》、土間、貴顕《きけん》のボックスと、ずっと見渡した時、吾着物の中で土臭《つちくさ》い体《からだ》が萎縮《いしゅく》するように感じた。
幕が上った。十五六世紀の西洋の甲冑《かっちゅう》着《つ》けた士卒が出て、鎌倉武士《かまくらぶし》の白《せりふ》を使う。亡霊《ぼうれい》の出になる。やがて丁抹《でんまるく》王城《おうじょう》の場になる。道具立《どうぐだて》は淋《さび》しいが、国王は眼がぎろりとして、如何にも悪党《あくとう》らしい。ガァツルード妃《ひ》は血色が好過ぎ若過ぎ強過ぎた。緑の上衣の若者を一寸ハムレットかと思うたら、そうではなくて、少し傍見《わきみ》をして居た内に、黒い喪服《もふく》のハムレットが出て来て、低い腰掛《こしかけ》にかけて居た。余は熟々《つくづく》とハムレットの顔を見た。成程違わぬ。舞台のハムレットには、幼《おさ》な顔の土肥《
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