子《だんご》が出来た。
墓参が多い。
夕方、静《しずか》になった墓地に往って見る。沈丁花《ちんちょうげ》、赤椿《あかつばき》の枝が墓前《ぼぜん》の竹筒《たけつつ》や土に插《さ》してある。線香《せんこう》の烟《けむり》が徐《しず》かに※[#「風+昜」、第3水準1−94−7]《あが》って居る。不図見ると、地蔵様の一人《ひとり》が紅木綿《べにもめん》の着物を被《き》て居られる。先月|幼《おさ》な娘を亡《な》くした松さんとこで被《き》せ申したのであろう。
(六)蛇出穴
三月二十八日。
近来の美晴。朝飯後高井戸に行って、石を買う。武蔵野に石は無い。砂利《じゃり》や玉石《たまいし》は玉川|最寄《もより》から来るが、沢庵《たくあん》の重石《おもし》以上は上流|青梅《あおめ》方角から来る。一貫目一銭五厘の相場《そうば》だ。択《えら》んだ石を衡《はかり》にかけさせて居たら、土方体《どかたてい》の男が通りかゝって眼を※[#「目+登」、第3水準1−88−91]《みは》り、
「石を衡にかける――驚いたな」
と云った。
午後は田圃《たんぼ》伝いに船橋《ふなばし》の方に出かける。門を出
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