《むれ》が悲鳴《ひめい》をあげつゝ裏の雑木林《ぞうきばやし》に飛んで来た。と思うと、やがて銃声がした。小鳥はうまいものである。銃猟は面白いものであろう。然しあの遽《あわただ》しい羽音と、小さな心臓《しんぞう》も破裂《はれつ》せんばかり驚きおびえた悲鳴を聞いては……
午後|鳥打《とりうち》帽子《ぼうし》をかぶった丁稚風《でっちふう》の少年が、やゝ久しく門口に立って居たが、思切ったと云う風で土間に入って来た。年は十六、弟子にして呉れと云う。縁《えん》の方へ廻れと云うたら、障子をあけてずンずン入って来たから、縁から突落して馬鹿と叱った。もと谷中村《やなかむら》の者で、父は今|深川《ふかがわ》で石工《いしく》、自身はボール箱造って、向う賄《まかない》で月《つき》六円とるそうだ。小説家なぞになるものでない、と云って聞かして、干柿《ほしがき》を三つくれて帰えす。
[#地から3字上げ](明治四十二年 一月十七日)
[#改ページ]
炬燵
雪がまだ融《と》けぬ。
夜、二畳の炬燵《こたつ》に入って、架上《かじょう》の一冊を抽《ぬ》いたら、「多情多恨《たじょうたこん》」であった。器械的《
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