こで字下げ終わり]
などはがきに書いて来た。
翌年の春、突然他の紀州の人から安達君が発狂して自殺したと知らして来た。驚いて令弟《れいてい》宛《あて》に弔状《ちょうじょう》を出したら、其れと行き違いに先の人から、安達君は短刀で自殺しかけたが、負傷したまゝで人に止《と》められたと云って、紀州の新聞を一枚送って来た。其れには安達君の直話《じきわ》として、苟《いやしく》も書を読み理義《りぎ》を解する者が、此様な事を仕出来《しでか》して、と恥じて話して居た。
余は慰問状を出した。其れが紀州に届いたと思う頃、令弟から安達君は到頭《とうとう》先度の傷の為に亡くなった、と知らして来た。
安達君は余の発狂を見舞に来てくれたが、余は安達君の病原《びょうげん》に触《ふ》るゝことが出来なかった。
記念の暁斎《ぎょうさい》画譜《がふ》は大切《だいじ》に蔵《しま》って居る。
[#改丁]
[#ここで上巻終わり]
落穂の掻き寄せ
デデン
一月一日
七時|起床《きしょう》。戸を開けば、霜如雪《しもゆきのごとし》。裏の井戸側《いどばた》に行って、素裸《すっぱだか》になり、釣瓶《つるべ》で
前へ
次へ
全684ページ中447ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
徳冨 蘆花 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング