お》二つランプの光に現《あら》われ、天幕の入口に蹲踞《そんこ》した。若い方は、先刻《さっき》山鳥五羽うって来た白手《しらで》留吉《とめきち》、漢字で立派に名がかけて、話も自由自在なハイカラである。一人は、胡麻塩髯《ごましおひげ》胸に垂《た》るゝ魁偉《おおき》なアイヌ、名は小川《おがわ》ヤイコク、これはあまり口が利《き》けぬ。アイヌの信仰《しんこう》、葬式《そうしき》の事、二三|風習《ふうしゅう》の質問などして、最後に、日本人《シャモ》に不満な点はと問うたら、ヤイコクは重い口から「日本人《シャモ》のゴロツクがイヤだ」と吐《は》き出す様に云った。ゴロツクは脅迫《きょうはく》の意味そうな。乳呑子《ちのみご》連れた女《メノコ》が来て居ると云うので、二人と入れ代りに来てもらう。眼に凄味《すごみ》があるばかり、例《れい》の刺青《いれずみ》もして居らず、毛繻子《けじゅす》の襟《えり》がかゝった滝縞《たきじま》の綿入《わたいれ》なぞ着て居る。名もお花さんと云うそうだ。妻が少し語を交《まじ》えて、何もないので紫《むらさき》メレンスの風呂敷《ふろしき》をやった。
惜しい夜も更《ふ》けた。手を浄《きよ》め
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