君の案内で、親子三人|※[#「陸」の「こざと」に代えて「冫」、上巻−297−11]別《りくんべつ》の方に行って見る。斗満橋を渡ると、街道の北側に葭葺の草舎が一棟。明治三十五年創業の際建てた小屋だ、と貢君説明する。今は多少の修補をして、又一君と其縁戚の一少年とが住んで居る。直ぐ其側に二十坪程の木羽葺《こっぱぶき》の此山中にしては頗立派なまだ真新しい家が、戸をしめたまゝになって居る。此は関翁の為に建てられた隠宅だが、隠居嫌の翁は其を見向きもせずして寧駅逓に住み、台所の板敷にストーブを囲んで一同と黍飯《きびめし》を食って居るのである。道をはさんで、粗造な牛舎や馬舎が幾棟、其処らには割薪《わりまき》が山のように積んである。此辺は蕨《わらび》を下草にした楢《なら》の小山を北に負うて暖かな南向き、斗満の清流直ぐ傍《そば》を流れ、創業者の住居に選びそうな場所である。山角《やまはな》をめぐって少し往くと、山際《やまぎわ》に草葺のあばら舎《や》がある。片山君等が最初に建てた小舎だが、便利のわるい為め見すてゝ川側《かわはた》に移ったそうな。何時の間にか※[#「陸」の「こざと」に代えて「冫」、上巻−298−
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