婆ァ婆ァと呼ぶ頬《ほお》の殺《そ》げたきかぬ気らしい細君は、モンペ袴《はかま》をはいて甲斐※[#二の字点、1−2−22]※[#二の字点、1−2−22]しく流しもとに立働いて居ると、隅の方にはよく兎を捕ると云う大きな猫の夫婦が箱の中に共寝して居る。話上手の片山君から創業時代の面白い話を沢山に聞く。※[#「陸」の「こざと」に代えて「冫」、上巻−296−11]別《りくんべつ》は古来鹿の集る所で、アイヌ等が鹿を捕るに、係蹄《わな》にかゝった瘠せたのは追放し、肥大なやつばかり撰取りにして居たそうだ。鮭《さけ》、鱒《ます》、※[#「魚+完」、第4水準2−93−48]《やまべ》なぞは持ちきれぬ程釣れて、草原にうっちゃって来ることもあり、銃を知らぬ山鳥はうてば落ちうてば落ちして、うまいものゝ例《ためし》にもなる山鳥の塩焼にも※[#「厭/食」、第4水準2−92−73]《あ》いて了まった。たゞ小虫の多いは言語道断で、蛇なぞは人を避《さ》くることを知らず、追われても平気にのたくって居たそうな。寒い話では、鍬の刃先《はさき》にはさまった豆粒《まめつぶ》を噛みに来た鼠の舌が鍬に氷りついたまゝ死に、鼠を提《さ》げ
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