《ちょうえん》の併発、事極めて意外、病勢は急転直下、僅かに二十時間にして彼女は去る。
盛大なりし葬式(ユニオン神学校に於ける)は、彼女と予とを永《とこ》しえに結ばん為めの結婚の式なりき。多く言わず、唯察し玉え。
二月三日[#地から3字上げ]勝郎
*
「日蓮は泣かねど、涙隙無し」と。涙隙無きに止まらず、声を挙げて泣ける事も幾たびぞ。怨み、嘆き、悲しみ、悔い、悩み、如何にして此《この》幽闇《ゆうあん》の力破らんと、空しくあたり見廻わせるも幾度び。……幾度我れ死せば此の苦しみあらざりしものをと思い候。
されど若し弟《てい》先んぜば、馨子の悲痛は弟にも勝《まさ》りて激しかりしならんか。弟をして此の憂闇《ゆうあん》の力を破り得しむるものは、唯一つ馨子生きて之れが為に戦い、死に及んで止まざりし我等の理想也。彼女の短かき生涯は、その一切の瑕瑾《かきん》と不完全を以てして、遂に人生最高の理想を追い、之れが為めに戦い、戦い半ばならずして斃《たお》れし英雄の生涯也。遂に蜉蝣《ふゆう》の如き人生は、生きて甲斐なけん。昔者《むかし》プラトー、ソクラテスの口をして曰わしめて曰く、“I
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