《かれい》の言を漏らしたと云って、痛恨して居る。若し其れをだに白璧の微瑕と見るなら、其白璧の醇美は如何であろう。彼の様な汚穢な心と獣的行の者は慙死《ざんし》しなければならぬ。

           *

 梁川君の訃《ふ》に接した其日井底に落ちた柄杓は、其の年の暮|井浚《いどさら》えの時上がって来た。
 然し彼は彼の生前に於て宇宙の那辺《なへん》にか落したものがある。彼は彼の生涯を献《ささ》げて、天の上、地の下、火の中、水の中、糞土の中まで潜《もぐ》っても探し出ださねばならぬ。梁川君は端的《たんてき》に其求むるものを探し当てゝ、堂々と凱旋し去った。鈍根《どんこん》の彼はしば/\捉《とら》え得たと思うては失い、攫《つか》んだと思うては失い、今以て七転八倒の笑止な歴史を繰り返えして居る。但一切のもの実は大能掌裡の筋斗翻《とんぼがえり》に過ぎぬので人々皆通天の路あることを信ずるの一念は、彼が迷宮の流浪《さすらい》に於ける一の慰めである。
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     梅一輪

       一

「お馨《けい》さんの梅が咲きましたよ」
 斯く妻が呼ぶ声に、彼は下駄を突っかけて、植木屋の庭の様
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