かげ》の頭、鷲の頭、梟《ふくろ》の頭、鰐《わに》の頭、――恐ろしい物の集会である。彼は上座の方を見た。其処には五分苅頭の色蒼ざめた乞食坊主が Preside して居る。其乞食坊主が手を挙げて相図をすると、一同前なる高脚《たかあし》の盃を挙げた。而して恐ろしい声を一斉にわッと揚げた。彼は冷汗に浸《ひた》って寤《さ》めた。惟うに彼は夢に畜生道に堕ちたのである。現《うつつ》の中で生きた人を喰ったり、死んだ死骸を喰ったりばかりして居る彼が夢としては、ふさわしいものであろう。
 彼は粕谷の墓守である。彼の住居は外から見てのお寺である。如何様《どん》なお寺にも過去帳がある。彼は彼の罪亡ぼしに、其の過去帳から彼の餌になった二三|亡者《もうじゃ》の名を写して見よう。
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     綱島梁川君

 明治四十年九月某の日、柄杓《ひしゃく》が井に落ちた。女中が錨を下ろして探がしたが、上らぬ。妻が代って小一時間も骨折ったが、水底深く沈んだ柄杓は中々上ろうともしない。最後に主人の彼が引受け、以前相模の海で鱚《きす》を釣った手心で、錨索《いかりなわ》をとった。偖熱心に錨を上げたり下げたりしたが、時々
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