昨年の秋、病災《びょうさい》不幸《ふこう》などでつい手が廻らずに秋草をとらなかった家の畑である。
草を除《と》ろうよ。草を除ろうよ。
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不浄
上
此辺の若者は皆東京行をする。此辺の「東京行」は、直ちに「不浄取《ふじょうと》り」を意味する。
東京を中心として、水路は別、陸路五里四方は東京の「掃除《そうじ》」を取る。荷車を引いて、日帰りが出来る距離である。荷馬車もあるが、九分九厘までは手車である。ずッと昔は、細長い肥桶《こえおけ》で、馬に四桶附け、人も二桶|担《にな》って持って来たが、後、輪の大きい大八車で引く様になり、今は簡易な荷車になった。彼の村では方角上大抵四谷、赤坂が重《おも》で、稀には麹町まで出かけるのもある。弱い者でも桶の四つは引く。少し力がある若者は、六つ、甚しいのは七つも八つも挽く。一桶の重量十六貫とすれば、六桶も挽けば百貫からの重荷《おもに》だ。あまり重荷を挽くので、若者の内には眼を悪くする者もある。
股引草鞋、夏は経木真田の軽い帽、冬は釜底《かまぞこ》の帽《ぼう》を阿弥陀《あみだ》にかぶり、焦茶《こげちゃ》毛糸の襟巻、
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