黄なる小菊の様に可憐な花をしながら、蔓延又蔓延、糸の様な蔓は引けば直ぐ切れて根を残し、一寸の根でも残れば十日とたゝずまた一面の草になる。土深く鍬を入れて掘り返えし、丁寧に根を拾う外に滅《ほろぼ》す道は無い。我儕は世を渡りて往々此種の草に出会う。
 草を苅るには、朝露の晞《かわ》かぬ間《ま》。露にそぼぬれた寝ざめの草は、鎌の刃を迎えてさく/\切れて行く。一挙に草を征伐するには、夏の土用《どよう》の中、不精鎌《ぶしょうがま》と俗に云う柄《え》の長い大きなカマボコ形の鎌で、片端からがり/\掻《か》いて行く。梅雨中《つゆうち》には、掻く片端からついてしまう。土用中なら、一時間で枯れて了う。
 夏草は生長猛烈でも、気をつけるから案外制し易い。恐ろしいのは秋草である。行末短い秋草は、種がこぼれて、生えて、小さなまゝで花が咲いて、直ぐ実になる。其|遽《あわただ》しさ、草から見れば涙である。然し油断してうっかり種をこぼされたら、事である。一度落した草の種は中々急に除《と》り切れぬ。田舎を歩いて、奇麗に鍬目《くわめ》の入った作物のよく出来た畑の中に、草が茂って作物の幅《はば》がきかぬ畑を見ることがある。
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