の下、はては額《がく》の裏まで探がした。居ない。居ないが、何処かに隠れて居る様で、安心が出来ぬ。枕を高くして昼寝《ひるね》も出来ぬ。其日一日は終に不安の中に暮らした。蛇を見ると、彼が生活の愉快がすうと泡《あわ》の様に消える。彼は何より菓物が好きで、南洋に住みたいが、唯蛇が多いので其気にもなれぬ。ボア、パイゾンの長大なものでなく、食匙蛇《はぶ》、響尾蛇《ラッツルスネーキ》、蝮蛇《まむし》の毒あるでもなく、小さい、無害な、臆病な、人を見れば直ぐ逃げる、二つ三つ打てば直ぐ死ぬ、眼の敵《かたき》に殺さるゝ云わば気の毒な蛇までも、何故《なぜ》斯様《こんな》に彼は恐れ嫌がるのであろう? 田舎の人達は、子供に到るまで、あまり蛇を恐れぬ。卵でも呑みに来たり、余程わるさをしなければ滅多に殺さぬ。自然に生活する自然の人なる農の仕方は、おのずから深い智慧《ちえ》に適《かな》う事が多い。
奥州の方では、昔蛇が居ない為に、夥しい鼠に山林の木芽《このめ》を食われ、わざ/\蛇を取寄せて山野に放ったこともあるそうだ。食うものが無くて、蛇を食う処さえある。好きとあっては、ポッケットに入れてあるく人さえある。
悪戯《
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