れ地盤《じばん》の震動である。何ものか震動する大地の上に立てようぞ?
八
農家に附きものは不潔である。だらしのないが、農家の病である。然し欠点は常に裏から見た長所である。土と水とが一切の汚物を受け容《い》れなかったら、世界の汚物は何処へ往くであろうか。土が潔癖になったら、不潔は如何《どう》なることであろうか。土の土たるは、不潔を排斥して自己の潔を保つでなく、不潔を包容し浄化して生命の温床《おんしょう》たるにある。「吾父は農夫也」と耶蘇の道破した如く、神は正《まさ》しく一の大農夫である。神は一切を好《よし》と見る。「吾の造りたるものを不潔とするなかれ」是れ大農夫たる神の言葉である。自然の眼に不潔なし。而して農は尤も正しい自然主義に立つものである。
九
土なるかな。農なるかな。地に人の子の住まん限り、農は人の子にとって最も自然且つ尊貴な生活の方法で、且其救であらねばならぬ。
[#改ページ]
蛇
一
虫類で、彼の嫌いなものは、蛇、蟷螂《かまきり》、蠑※[#「虫+原」、第3水準1−91−60]《いもり》、蛞蝓《なめくじ》、
前へ
次へ
全684ページ中280ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
徳冨 蘆花 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング