尺蠖《しゃくとり》。
 蠑※[#「虫+原」、第3水準1−91−60]の赤腹を見ると、嘔吐《へど》が出る。蟷螂はあの三角の小さな頭、淡緑色の大きな眼球に蚊の嘴《はし》程の繊《ほそ》く鋭い而してじいと人を見詰むる瞳《ひとみ》を点じた凄《すご》い眼、黒く鋭い口嘴《くちばし》、Vice の様な其両手、剖《さ》いて見れば黒い虫の様に蠢《うごめ》く腸を満たしたふくれ腹、身を逆さにして草木の葉がくれに待伏《まちぶせ》し、うっかり飛んで来る蝉の胸先に噛《か》みついてばた/\苦しがらせたり、小さな青蛙の咽《のど》に爪うちかけてひい/\云わしたり、要するに彼はこれ虫界の Iago 悪魔の惨忍《ざんにん》を体現した様なものである。引捉えてやろうとすれば、彼は小さな飛行機《ひこうき》の如く、羽をひろげてぱッぱた/\と飛んで往って了う。憎いやつである。それから、家を負う蝸牛《かたつむり》の可愛気はなくて、ぐちゃりと唯意気地なさを代表した様で、それで青菜|甘藍《キャベツ》を何時の間にか意地汚なく喰い尽す蛞蝓と、枯枝の真似して居て、うっかり触《さわ》れば生きてますと云い貌にびちりと身を捩《もじ》り、あっと云って刎《
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