しも御上に随喜《ずいき》の結果ではない。彼等が政府の命令に従うのは、彼等が強盗に金を出す様なものだ。此辺の豪農の家では、以前よく強盗に入られるので、二十円なり三十円なり強盗に奉納《ほうのう》の小金《こがね》を常に手近に出して置いたものだ。無益の争して怪我するよりも、と詮《あき》らめて然するのである。農は従順である。土の従順なるが如く従順である。土は無感覚の如く見える。土の如く鈍如《どんより》した農の顔を見れば、限りなく蹂躙《じゅうりん》してよいかの如く誰も思うであろう。然しながら其無感覚の如く見える土にも、恐ろしい地辷《じすべ》りあり、恐ろしい地震があり、深い心の底には燃ゆる火もあり、沸《わ》く水もあり、清《すず》しい命の水もあり、燃《も》せば力の黒金剛石の石炭もあり、無価の宝石も潜《ひそ》んで居ることを忘れてはならぬ。竹槍席旗は、昔から土に※[#「にんべん+牟」、第3水準1−14−22]《ひと》しい無抵抗主義の農が最後の手段であった。露西亜《ろしあ》の強味は、農の強味である。莫斯科《モスクワ》まで攻め入られて、初めて彼等の勇気は出て来る。農の怒は最後まで耐えられる。一たび発すれば、是
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