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「おい樫君、樫君。君は年が年中|其処《そこ》につくねんと立って居るが、全体何をするのだい? 斯忙しい世の中にさ、本当に気が知れないぜ。吾輩を見玉え。吾輩は君、君も見て居ようが、そりゃァ忙しいんだぜ。吾輩は君、地球と同じに日夜《にちや》動いて居るんだぜ。よしかね。吾輩は十五|秒《びょう》で一回転する。ソレ一時間に二百四十回転。一昼夜に五千七百六十回転、一年には勿驚《おどろくなかれ》約《やく》二百十万○三千八百四十回転をやるんだ。なんと、眼が廻るだろう。君は吾輩が唯道楽に回転して居ると思うか。戯談じゃない、全く骨が折れるぜ。吾輩は決して無意味の活動をするんじゃない。吾輩は人間の為に穀《こく》も搗《つ》くのだ、粉《こな》も挽《ひ》く。吾輩は昨年中に、エヽと、搗いた米がざっと五百何十石、餅米が百何十石、大麦が二千何百石、小麦が何百石、粟が……稗《ひえ》が……黍《きび》が……挽いた蕎麦粉《そばこ》が……饂飩粉《うどんこ》が……まだ大分あるが、まあざっと一年の仕事が斯様《こん》なもんだ。如何だね、自賛じゃないが、働きも此位やればまず一人前はたっぷりだね。それにお隣に澄まして御出《おいで》の御前
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